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2025.10.27 08:08

いいわけ大魔王

 統合情報論に涙したんだけれど、本当なんだ、泣けてきた。脳科学の本を読みながら泣けてきたんだ。どんな感じかというと、一言でいうなら青春だね。誰しも若いころさまようだろ、それです。自分探し、ってするだろ、だれでも若い頃の一時期は。それです。知らなんだ、じぶんのこと、おんとし70才になるまで知らなんだ。あんだけ自分探ししたのに知らなんだ。
 ピアノを弾くとき考えんと弾くやろ、とか、テニスをするときも考えてプレーできんやろ。考えとったら相手のボールを打ち返えせんで、ほいで負ける。朝出勤するとき、右足を前に、次に左足を出して、って考えて歩いたら、会社には到着しませんね。そうです、無意識にピアノを弾き、無意識にギターを弾き、無意識にテニスをしてる。無意識に歩いている。いや、ぼんやり無意識にプレーしてるんや、とか、無意識に出勤の徒歩をしてるけどぼんやりとは意識してる、とか言うかもしれないね。しかーし、脳科学ではピアノを弾くときの脳の部分、テニスをするときの脳の部分、歩くときの脳の部分、自分が自分であるという自意識の脳の部分、それぞれ別の部分であることがつきとめられている。そこで、脳ミソが事故なんかで一部だけ傷つくと、ピアノだけが弾けなくなったり、ギターだけが弾けなくなったり、テニスだけができなくなったり、歩くことだけができなくなったり、文字の意味だけが分からなくなったり、しゃべることだけができなくなったり、する。おそろしいことに、自意識を感じる脳の部分もあり、ここを傷つけると自意識だけがなくなる。アイデンテティーだけがなくなるわけです。ロボトミー手術って知ってるよね、あのノーベル賞をもらった手術方法です。
 ほいでね、たとえば手を動かすとしましょうか、まず手を動かしてるんです。これが一番早く脳で処理されている。10ナノ秒くらいで脳が勝手に手を動かしています。その次に、実際の手の動きを見ます。遅れること10ナノ秒。最後に自意識の脳の部分が活動します。最後の自意識はかみしめる脳活動なので、大掛かりです。その脳活動には100ナノ秒くらいかかります。要は、自意識は一番最後ののんびりとした脳活動であることが重要です。自分で決めて自分が実行した、というのは幻想で、まず①自分というしろものは勝手に行動をしてしまう。②それを後で知って意味を考える。③自分の自由意思でそうしたんやと確信する。つまーり、自由って、自分の自由意思って、後付けなんやで。1秒の100分の1くらいの脳内リレーやから、因果関係が逆転していても気づかない。これが人間の確信の、いいわけ大魔王のありのままの姿やで。
 意識をめぐる冒険(クリストフ・コッホ)、僕にとっては土日の2徹夜で読める分量でした。
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