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2025.06.10 09:40

愛のかたち、真実は苦いな

初恋(ツルゲーネフ)

(ジナイーダは一階の開け放した窓から外をながめている。そこへ謎の男が近寄る。あろうことか父ではないか。ぼくは木陰にひそんでその様子を見ている)

 父はひょいと肩をすくめて、帽子をかぶり直した。それはいつも決って父がいらいらし出したしるしであった。……それから「あなたは思い切らなくちゃだめです、そんな無理な……」という父の声がした。ジナイーダは、きっと身を起して、片手をさし伸のべた。……そのとたんに、わたしの見ている前で、あり得うべからざることが起った。父がいきなり、今まで長上着フロックの裾のほこりをはらっていたむちを、さっと振上げたかと思うと――肘までむきだしになっていたあの白い腕を、ぴしりと打ちすえる音がしたのである。わたしは思わず叫び声を立てようとして、あやうく自分をおさえた。ジナイーダは、ぴくりと体を震ふるわしたが、無言のままちらと父を見ると、その腕をゆっくり唇へ当てがって、一筋真っ赤になったむちのあとに接吻した。父は、むちをわきへほうりだして、あわてて玄関の段々を駆かけあがると、家の中へとび込こんだ。……ジナイーダは後ろを振返ると、さっと両手をひろげ、顔をのけぞらせて、やはり窓から消えてしまった。
2025.06.10 05:35

悪一代

 てめえらはメアキの癖に肝っ玉が小せえもんだから、俺のやってるような事がやりたくても出来ねぇんだ!、愉しみといやあ、せいぜい祭りぐれぇが関の山。そうしてダラダラとジジイになりババアになり…、挙句の果てには糞小便の世話ぁされながら死ぬだけだ!、うははっ!ざまぁみやがれ! …亡き父のいいそうなセリフだ、、いいお父さんだった、、俳優に負けない美男だった。
2025.06.08 06:28

平面ガエル参上

 行けよピョン吉、ということでピョン吉くんに登場してもらいます。

 ぼくはピョン吉です。平面ガエルです。平たい生き物なんです。生まれたときから平面ガエルで厚さがありません。まっ平です。仕方ないんです、だって生まれた世界がそもそも平面なんです。平面世界です。立体世界に生まれたみなさんにはちょっと首をかしげる話になるでしょうけど、僕は平たい。厚さゼロミリの生き物です。そもそも僕の世界に厚さというものがないんです。ぼくの世界には東西と南北はあるけれど、上下がないんです。平面世界です。エデンの東はあるけれど標高8,000mのエベレストはないんです。琵琶湖や京都盆地もありません。天井もなければ地下街もありません。そもそも上というスペースも下というスペース自体もない平面世界なんです。でね、ピョン吉としては、例えばどこまでも北に直進すればどこまでも北に行けるし、どこまでも東に進めば、どこまでも東に進める、無限の広さが広がる世界だと思っているんです、この平面世界を。

 ここでリクトくんにも登場してもらいましょう。

 あのなピョン吉、君のいる平面世界は実は球面世界なんやで。だから、ぐるっと一周してるだけなんや、無限の広さなんてないで。

 ちょっとちょっとリクトくん。ピョン吉はともかく平面世界で生まれてずーっとこの平面世界で育ってきてるんや、だから上下って何か知らんのです。つ・ま・り~、球ってもの知らんのや、立体ってこと生まれてから一度も経験したことないから想像もできひんのや。リクトが球面っていうたかてちょっと納得できひんわ。

 かわいそうなやつ、、ほいでもなマゼランていう平面ガエルがずーっと西に直進して元に戻って来たやろ、どうや。

 そやね、もう球面てわけわからんがそう思うしかないな、僕の生きてる平面世界はぐるっと一周の球面世界でええわ。

 めでたしめでたし、といいたいところやけど、ピョン吉対リクトの会話をリクト対カルロに置き換えてみよう。ピョン吉はリクトで、リクトはカルロさんに交代してもらいます。

 あのなリクト、君のいる立体世界は実はホニャ球面世界なんやで。だから、ぐるっと一周してるだけなんや、無限の広さなんてないで。

 ちょっとちょっとカルロさん。リクトはともかく立体世界で生まれてずーっとこの立体世界で育ってきてるんや、だからホニャホニャって何か知らんのです。つ・ま・り~、ホニャ球ってもの知らんのや、ホニャ立体ってこと生まれてから一度も経験したことないから想像もできひんのや。カルロさんがホニャ球面っていうたかてちょっと納得できひんわ。

 かわいそうなやつ、、ほいでもなホニャマゼランていう人間がずーっと直進ロケットで出発して地球に戻って来たやろ、どうや。

 そやね、もうホニャ球面てわけわからんがそう思うしかないな、僕の生きてる立体世界はぐるっと一周のホニャ球面世界でええわ。


ホニャマゼラン待とか、何億年?
2025.06.07 04:46

人間なんて

 さて、ぼくはロケットで宇宙を直進すれば元の地球に戻ってきてしまうということを、平面ガエルのピョン𠮷をつかって説明しようとしています。 、、そんな説明、成功するのだろうかと、立ち止まってしまった。、、 むかしむかし、ひとびとは地球が丸いとは思っていなかった。まっすぐ進めば、いずれは地の果てのがけや滝になっていて、落っこちちゃうんだ、それ地獄ね。でも、賢い人もたまにはでてきて、星を見て、つまり天空の星々を観察して、はたまた井戸に落ちる太陽光を見て、地球は丸いんだよ、丸いから地の果てなし、と唱える人もいた。その理屈は万人に理解してもらえたか。マゼランが地球を一周するまで、そのような人々の首を一生懸命ちょん切ってきたじゃないか。魔女狩りか?、宗教裁判か?。それほどまでに理論は弱い、カルロは弱い。
 首を切られるのも怖いし、人々の頑迷と対峙するのも面倒だ。黙っていよう、別に地面が平たくてもいいじゃないか、人の一生は短い、君の一生が短いように僕の一生も短いんだ。地球は平たい、宇宙は無限、そう言って誰が困るんか?、という感じで筆が意気揚々とはいかない。もうマゼランが地球を一周するまで、直進ロケットが宇宙を一周するまで、平凡ないなかのじじいでいたい。首をちょん切られたり、頑迷な人たちの表情を見るのはつらいわけです。マゼランは地球を一周してきてくれたが、直進ロケットが宇宙を一周するのは原理的に無理なので(だって何千億年も人類は続かないし、直進ロケットの帰還を待ってられない)、空間は無限に広がってるといった迷信は、少なくとも僕の一生においては無害だから。
2025.06.04 07:49

アランブラ宮の壁の

アランブラ宮の壁の
岸田衿子

アランブラ宮の壁の
いりくんだつるくさのように
わたしは迷うことが好きだ
出口から入って入り口をさがすことも



でね、またアランブラ宮に戻ってしまった。きみの名は?、平面ガエル、、、ど根性ガエル、、。ある人がまっすぐ、まっすぐ、ロケットを直進させた。すると元の位置、地球にたどり着いた。まっすぐ行ってなかったんじゃないの?、ちょっとまがって進んでいたから、ぐるっと一周してしまったんだろう。・・・???。つぎはマゼランさんに登場してもらおう。まっすぐまっすぐ西に進んだんだ。なのに、出発した港にたどり着いたよ。→地球は丸いんだね。  ・・・と同じ発想で、宇宙は丸いんだね。?。地面のような平面は丸いって感じ分かるけど、ロケットだぜ、空間が丸い?、宇宙が丸い?、わかんないな。何言ってんだ、船のマゼランと宇宙に漂うロケットを一緒にしたらあかんでしょ。あかんかなあ?、、
2025.06.02 06:24

さて空間

 さて空間。あの~、この空間ていうやつ、つまり僕のまわりのスペースのことなんだけど、まっすぐ進んでいったらどうなる?。直進していったらどこにたどり着くのだろう。無限にまっすぐ行ってしまうよ、たどりついた先のその先にまだまだ進めるんだ。それ無限や、というわけで一番大きな数はなんぼなん?、というリクトと同じ考えやね(リクトというのは僕の小1の孫)。宇宙をロケットで直進したら永遠に直進、宇宙の果てのまたその向こうも宇宙や、っていう発想の空間、ていうか宇宙観やね。空間っていったらほとんどの子供や大人はこんなイメージを持っているのではないだろうか。もしそうなら議論の出発点はここやね。ほんまにそうか?
 ま、なんか、なに言いたいんや、と思うでしょうから、今後の作戦を言っときます。まず空間から話を進めて、→カルロの時間は存在しないを通り、→最後に心の存在をお話しして、このシリーズを終えます。そんな予定というか、予想です。
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